文化的放電

観劇、展覧会、断捨離etc ペーパー学芸員が頭と心が動いたことをゆるゆると放電するブログ

星組『RRR』新人公演感想

星組『RRR』新人公演の配信を視聴しました。

ざっくりと感想を残しておきます。

kageki.hankyu.co.jp

主要キャスト感想

ビーム/大希颯(105期)

男役として恵まれた体格に、涼やかな顔立ちでありながら情念を演じられる力のある瞳。総じて、初主演とは思えない驚きの真ん中力でした。

声と滑舌がよく、ストレスなく最後までお話に集中できました。 登場時こそ歌が安定しなかったですが(礼真琴仕様の爆踊りしながらだし)、ほかの歌はすごく安定していました。

舞台映えする体格と印象に残りやすい顔立ち、さらに安定した歌唱力を持っている男役って、実は路線の中でも貴重です。

本役の礼真琴とは持ち味が真逆ですが、演技は本役をかなり踏襲しているように見えました。ですが、素材が全然違うことにより大希颯でないとできないビームにしあがっていました。

特に”アクタル”の時の気の良い兄ちゃん感が自然体でよかったー。

新人公演ではビームのほうがラーマより背が高いので、ラーマを自分の兄のように慕う姿が大型犬のようでかわいかったです。

使命のことを思う時(勝手に羊飼いモードと呼んでいる)に、切れ長な目をじっと細めて三白眼になるところ、妖艶さすら感じるすごみがありました。

その真骨頂が「コムラム・ビームよ」。

森を出たときから仲間の守護神だった礼ビームが圧倒的歌唱力で空間を染め上げたのに対して、森出身の無垢な青年に彼を守護する精霊たちが宿ったかのように覚醒した大希ビーム。

序盤からチラ見せされていた羊飼いモードの三白眼でラーマを強く見すえるところ、ゾクッとしました。それを受けた御剣ラーマの露骨にギクッとした演技。ラーマには、驚異的な理性でおさえていたイギリスへの恨みを、ビームに見透かされたように見えたのではないでしょうか。

新公中にもぐんぐん成長していっているのを感じました。森で再登場したビーム、冒頭と比べると迫力も貫禄も段違いで息をのみました。大槍振り回しも危なげなし。

今回のビームははまり役だったと思うので、このチャンスを大いに活かして、これからも魅力をがんがん発揮していってほしいです。

若手ばかりのナートゥ場面は爽やか度5割増でした。狙ったのかわからないけれど、期待の105期同士が対峙して胸熱。

ビーム役の大希颯は今回初主演。ジェイク役の稀煌かずとは一足先に新公主演を経験している。

中の人のその関係を踏まえた上で、ジェイクがビームを煽ってナートゥに入っていく流れは、105期のよきライバルが今後も切磋琢磨しあっていく暗示のようでした。

ラーマ/御剣海(104期)

よかった! 特に演技!

カメラが要所要所でラーマの表情抜いてくれるのに愛を感じました。今回のカメラさん、あの子もこの子も撮らないと!で色々なジェンヌの見せ場をしっかり映してくれてましたね。切り替わり激しかったけどまぁよし。

モリタが思う本役・暁千星の魅力は、自身の持ち味を活かしたギラつきと月組で培った繊細さを、演技で自在に使い分けるところ。(ex:ダルレークの恋、川霧の橋)

その暁千星の演技スタイルを愚直におさえていった感じ。大希ビームが無垢で使命にまっすぐな分、葛藤をかかえた御剣ラーマの一瞬一瞬の表情が際立っていました。

スタイルも良くてひとつひとつのポーズがきれいでした。歌舞伎の見得のように場面がピシッと止まって強調される演出(ビームとラーマが腕をつかみ合うところとか)が多用される本作では、大変映えていました。

ジェニー/乙華菜乃(106期)

本役舞空ジェニーよりも大人っぽくて優等生な感じでした。

舞空ジェニーは今までもちょこちょこ反抗してガス抜きしてそうな自由さを感じたけど、乙華ジェニーはずっと真面目に役割を果たしてきた印象。

初めてにして最大の反抗が、今回のビームへの協力のように見えました。

稀煌ジェイクもさぞやびっくりしたことでしょう。

そのほかのキャスト感想

キャサリン/瑠璃花夏(103期) 『ディミトリ』の新人公演で知って以来、注目している娘役さんです。持ち味が元花組トップ娘役・仙名彩世と似ている。

キャサリン役はもう、さすが! 本公演並のクオリティで、断トツでうまかったです。

パーティの場面、ゴージャスでキラキラで美しかった!

路線に乗るのか、娘2役として物語のキーウーマンをおさえていくのか、どちらにせよもっと見たい娘役さんです。

長の期としての挨拶も堂々として美しかった。

SINGERRR女/詩ちづる(105期) きっちりカメラが抜いてくれたSINGERRR女役。本公演ではあまり見ない、険しい顔で力強く歌いあげる姿が印象的でした。

マッリ/茉莉那ふみ(108期) マッリ役を任されるだけあって、歌が本当に上手。マッリとビームのデュエット、新公とは思えない没入感がありました。

シータ/綾音美蘭(104期) 本役に比べて圧強めのシータがよかった。彼女も歌が上手。星組娘役は実力者揃いだなぁ。

 

星組の新人公演を見たのは2023年『ディミトリ』以来。

今回の新人公演で、極美慎と天飛華音以降の下級生の顔と名前がだいぶ一致してきました。

次の別箱でどんな活躍を見せてくれるか、星組の次世代がますます楽しみです。

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