文化的放電

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特別展『神護寺展』感想@東京国立博物館

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7月に東京国立博物館賛助会員感謝デーに行ってきました。

今さらですが記録しておきます。

昨年から賛助会員になりましたが、感謝デーで行われる担当学芸員による開催中の特別展見どころ解説が熱量高くて、今年も楽しみにしていました。

副館長さんも彫刻がご専門ということで、神護寺御本尊の薬師如来についてウキウキと語っておられました。

こういった職員の熱い解説を音声ガイドにしてもいいんじゃないかなぁ。

 

www.tnm.jp

会期:2024年1月23日(火)〜4月14日(日)

会場:本館特別5室

 

大きい資料が多いからか逆に点数は少なく、ゆったりじっくり見られました。

神護寺といえば空海です。

空海といえば、全国にゆかりの井戸があったりと歴史を通り越して伝説上の人物のような、遠いイメージでした。

今展示ではそんな空海の息づかいを感じられる資料が多くて興味深かったです。

空海が生きていた9世紀の資料がごろごろと展示されていて息をのみました。中には、空海が使用していたと思われるものまで!

空海、実在していたんだ。

ここまで古い資料は関東の展示ではなかなか見ることができないと思います。

資料の状態はとりわけ繊細で、移動にもレベルの高い職人技が求められます。

日本の歴史の根幹を知ることができる資料を、人口の集中する首都圏までわざわざ持ってきて展示してくれたことそのものが意義深い展示だと感じました。

印象に残った資料

紺紙金字一切経経帙(きょうちつ)

経典を巻いていた染織です。

小学生の時に習字セットに入っていた筆巻のようなつくり。

1,000年前の染織をこんなにたくさん間近で見られて嬉しい。きれいに残っていて驚きです。

両界曼荼羅

大きい。とにかく大きい。

曼荼羅がおさめられていた唐櫃も大きい。

京都から運んでくる道程を思って頭が下がります。

紺地に金糸・銀糸が神秘的。

燈だけに照らされたお堂の中で、この曼荼羅が浮かび上がってくる景観を想像すると、まさに密教の神秘的な空間。

空海は空間演出の技術も持っていたんですね。

源頼朝寄進状・同下文・同書状

学生の頃から源平合戦好きで、好きな大河ドラマを聞かれれば「平清盛」「鎌倉殿の13人」を間違いなく挙げるモリタにとって、この資料、展示ケースの前で震えました。

この展示、教科書に載るレベルの資料がごろごろしていますが、頼朝直筆の花押が記されたこの文書類はそのなかでも群を抜くレベル。

見られてよかった。

薬師如来立像・日光月光菩薩立像

きびしくたくましい薬師如来に、優美でたおやかな日光月光菩薩のバランスが見事でした。

3体とも袖の造作が美しかった…。

十二神将立像

学芸員さんこだわりの照明がとにかく印象的でした。

下から当てられた光が背後の壁に大きなシルエットを映し出していて、十二神将達ごとに異なるポーズが際立っている。キャラが立ってる!

戦隊モノや2.5次元舞台のようで、像達の決めゼリフ聞こえてくるようでした。

江戸時代の制作なので、もしかしたら歌舞伎の影響もあるのかも。

気になったのは神護寺と文覚の関係

さびれていく官製寺院の中で、なぜ文覚は神護寺を復興することができたのか、が気になりました。

当時の情勢の中で、源頼朝の挙兵にのり、という当時最大の賭けに勝ったからでしょうか。

それと、文覚にとってなぜ神護寺がそんなに重要なお寺だったのか?

また、神護寺自体も数多の戦乱の中をなぜ生き残れり、これだけの歴史的な寺宝を維持し続けられたのだろう。洛中ではなかったという立地が大きのかな、とは思いますが・

後鳥羽上皇が神護寺のために寺宝を買い戻したのにも驚いた。

 

◆東京国立博物館の展覧会感想◆

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